2001/12/23
[BUTU0033] コードレス掃除機


 そろそろ年末。年末といえば大掃除。掃除なんて日々のオペレーションでKeep Cleanしておけばいいのに、なぜか年末にやるのが日本の風習だ。まあ、気合が入って、普段やらないところまでやるからいいとするか。

 我が家の掃除機は、いわゆる直立型で本体を手で持つタイプのクリーナーであるが、かなり年代ものだ。今確認したら、1983年製だと。実に18年前のシロモノである。ひょえー。掃除機なんてものは、「ごみを吸い取る」という基本機能さえ満たしていれば、壊れるまで買い換える必要などないということがこの例で明らかにされた。モーター系の寿命の長さったら、驚くべきものがある。

 さて。ではなぜ物欲の土俵に載ることになったのか。掃除機のような基本機能重視型の製品でも、著しい技術革新をもってすれば、それは物欲風船を膨らませるだけのパワーを持つ。

 掃除をしていて、ずっと気になっていたものがある。それは電源コードである。掃除をする場合、各部屋をまわっていくが、電源コードの長さが足らず、部屋を移るたびにコンセントのつなぎ換えというオペレーションが必要になる。これをしないようにする運用が、延長コードを使うという手段。こうすれば面倒なつなぎ換えが存在しない。しかし、自動巻き取り式の掃除機であると、外す必要があるし、直立型でパイプにコードを巻きつける方式のやつだと、巻きつけ時間が余計にかかることになる。そんな動作はたいしたことない、という人はきっと掃除好きなのだろう。まさぞう的には、この準備および収納の作業は、いつも煩雑に感じていた。その煩雑さゆえ、床にごみやほこりが落ちていても意図的に見逃してしまうことも日常であった。

 別の物欲ウォッチングでたまたまビックカメラ有楽町店にいって、B1Fの家電コーナーをふらついていると、掃除機コーナーが目に入ってきた。そこで飛び込んできたPOP文字。それは「コードレス掃除機」であった。
 今までにも充電式の掃除機はあった。しかし、それはハンディであり、充電時間の長さ、使用時間の短さ、そして吸引力の弱さなどが課題であった。

 しかし、現在のラインナップは、いわゆるホース付の、床自走式の掃除機である。お試しコーナーで実際に使える状態になっていたので、なんとなく触ってみた。おお、吸引力はまずまずだ。大昔にはやったターボブラシなんかもついていてじゅうたんなんかもOKだ。POPのスペック表によると、1回の充電で、20〜40分は使えるらしい。これなら大掃除にも十分耐えられる。しかも3Kgを切る重量で、手で持ってもそれほど苦痛ではない。ハンディで使えるということは、高いところの掃除なんかもらくらくできるという自由度があるということだ。

 物欲風船は一気に膨らんだ。ひさびさの「衝動買い型物欲タイフーン」である(笑)。ここまでくれば、あとは最後のひと針を刺すだけだ(大笑)。

 物欲を科学するときの手法の1つにライフサイクル分析がある。(って、おまえは学会発表でもしてるんか?>まさぞう)
ライフサイクル分析とは、対象の利用場面をモデル化して、そこでの動作や環境などについて想定される事象を洗い出し、その事象を評価することで、課題抽出をする技法である。これを各社の掃除機の比較選別に当てはめてみる。対象製品は日立XV-XE10、東芝VC-M1X、サンヨーSC-JX3Bだ。

 掃除のライフサイクルは以下のようになる。

  1. ごみやほこりを発見し、掃除したい欲求が発生する。
  2. 掃除機が格納されている場所にいき、掃除機を手にする。
  3. 掃除機を動作させるための準備をする。(たとえばコードをセットするなど)
  4. 床や桟などターゲットが生息する場所にあわせて、吸引口のアタッチメントを入れ替える。
  5. 電源をいれ、適切なレベルで吸引を開始し、ターゲットとなるごみを吸い取る。
  6. ターゲットが消滅したら、電源を切る。
  7. 掃除機の格納準備をする。(コードを巻き取るなど)
  8. 掃除機を所定の位置に格納する。
  9. 掃除機の吸引が悪いときは、内部のごみ蓄積量が許容値を超えているので、掃除機をリリースし、たまったごみを捨てる。

3.や7.はコードレスにすることで最短時間で済む。構造上、電源コンセントについている土台部分と、掃除機本体にわかれるが、製品比較するとすれば、コードレス部分の装着、リリースのしやすさである。これはどれも大差ない。

4.のアタッチメントであるが、回転ブラシ付の標準、くちばし型、小型ブラシの3つはそれぞれある。回転ブラシにまとわりつく髪の毛などの除去のメンテナンス作業は、ブラシがとりはずせるやつがいい。

5.では電源スイッチの位置がポイントおよび方式が問題となる。ホースの握り手部分にスイッチがあり、スライド式ではなくタッチ式が操作しやすい。各社とも同じ方式でこれでは差がでない。

9.ではあきらかな差がでる。日立およびサンヨーはいわゆるゴミパック方式。ゴミパックのメリットは、ほこりが立たずに捨てられるということだ。しかし、この紙パック、最大の欠点がある。パックは消耗品であり、毎回購入する必要がある。ランニングコストとかそんな問題ではない。最大の欠点とはパックがなければ掃除ができないということだ。まさにただの箱になってしまう。

 それに対して、東芝はサイクロン方式である。サイクロン方式とは、ちょっと前に話題になったやつで、透明なダストカップの中でごみが回転することで、「パワーが持続」「排気がきれい」というメリットがある。ごみ捨てはカップをゴミ箱までもっていき、たまったゴミをひっくりかえすことでおこなう。当然ほこりが立つが、カップは水洗いもでき、繰り返し利用できる点がすばらしい。さらにカップはごみの溜まりぐらいも判別できる。(ほこりが見えて逆にいやん、という潔癖症なかたは、ゴミパックがいいですねん)

 最後のひと針はこのように決まった。このようにライフサイクルまで想定し、納得して買うのが物欲魂であるといえよう。さて東芝のクリーナに決まったわけであるが、ビックカメラの売り場にはVC-M1Xの1世代前のVC-J1Xが特価で売っていた。37000円に対して19800と価格差17000円。差は、吸引パワー、下からポイのゴミカップの採用である。吸引パワーはあるにこしたことはないが、決定打はゴミカップである。下からポイは致命的欠陥がある。ボタンを押すと下が開いてゴミが捨てられるこの機構は、ほこりが立ちにくいことがポイントだが、逆にカップ運搬時に開放ボタンを押してしまうという危険性を内蔵してしまった。しかも動的なギミックは故障の原因ともなる。長いこと使う予定の掃除機で、この点は、まさぞうとしては改悪ポイントだと思いますぞ。

 さて、現場での検討時間30分にて購入した掃除機であるが、いきなり初期不良。充電できないという致命的なもの。いきなり返品して新しいものに交換してもらったぞ。あらためて、フル充電し、さっそく使ってみる。しばらく使ってみての所感。

  • やはりコードレスは最高!
  • 吸引力は必要十分。
  • 小型のパワーヘッドが使いやすい。
  • ブラシアタッチメントも可動式で使いやすい。
  • 本体に取手が2つ付いているが、利用時、格納時ともに使いやすい。
  • 格納もコンパクト。

 パラダイムシフトというのはこういうものをいうのだろう。準備とゴミ捨て。この2つのストレスを解消することによって、苦痛だった掃除がいきなり楽しみに変わってしまった。今日もほこりを見つめるのが楽しみなまさぞうが存在するのであった。

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